青い鳥の飛ぶ先には
ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow
遂に公開まで2週間程になりましたね。まだ4thライブの興奮と余韻が渦巻いているのであと半年ぐらい公開を先延ばしにしてくれてもいいんじゃないかと思っている今日この頃です。
この部分についてはちょっと思うところがあるので劇場版公開までに別のブログに書きたいと思います、必ず。
Aqours 3rd LoveLive!@SAITAMA -2018.6.9,10- - Aqours storeis
というわけで半年前に余計なことを言ってしまったので宣言通り、というよりかは劇場版に関連して前から温めていた話を書こうと思います。いつものように2万字とかにはならないのでご安心を。
終わりと始まりを歌う
まずは劇場版のCD音源提供してくれた皆様本当にありがとうございます。事前予約じゃなくていいだろうと高を括っていたら通常販売はまさかの12/27~配送というオチ。これでは聴き込みが間に合いませんでした。
では本題
聴いてまず思ったのは、3曲とももちろん好きなんですが
"好きのベクトルがちょうど120°ずつ違ってて良い" というのが率直な感想ですね。
本当に各学年3人の色が出ていてアニメ後から劇場版へ向けた彼女たちの姿を連想させてくれます。
1年生楽曲 "ハジマリロード"
"楽しさ"
歌詞にちょっぴり寂しさが混じりつつも、いつもの楽しさ全開なわちゃわちゃ感がビシビシ伝わってくるとにかく楽しい曲。本当に1年生らしさが出てますね。
ハジマリとオワリの
線など引けないよ
いつの間にか また始まる
いいないいな そういうコトにしよう!『ハジマリロード』
1年生はユニットに分かれると見事に3人バラバラなので、3人の気持ちの描写がうまく汲み取れなかったんですよね。だから3人集まって卒業や新しいスタートに向けた曲を歌ったらどんな曲になるんだろうとわくわくしていました。
初めの3節を聴いたときは、えっ?こんなしっとり曲調?と思ったんですけどその後はやっぱり元気全開でしたね。本当に1年生はアップテンポな曲が似合う。
ルビィと花丸はあまりそんなことないと思うんですが、善子は自分の気持ち(特に感謝とか涙を誘うシーン)をなかなか表には出さないじゃないですか。例え出してもなるべく周りをしんみりさせないように気丈に振る舞いますよね。それがこの曲の出だしに凄く現れているなぁと思いました。
2年生楽曲 "Marine Border Parasol"
"美しさ"
全体的に曲調がしっとりしてして、曲の合間に入る3人のセリフがどこか哀愁漂いながらも今この瞬間の幸せを歌っている曲という印象ですね。
パラソル 海辺の道は いつも変わらないけれど
僕らの夢の色は 変わってくと気がついた
パラソル 楽しく遊んで じゃあねって 次の季節へと
どこでまた会えるかは 潮風が知ってる『Marine Border Parasol』
パラレル いまの僕らでよかった 他の選択肢だったら
ここで一緒に 笑い合えなかったかも
パラレル もしも の答えは 波がさらって行っちゃったよ
いつかまた会えること 潮風が知ってる『Marine Border Parasol』
1番と2番のサビ。
パラソルとパラレルという語感の似た言葉を使って「今」と「もしも」を対比して歌っている部分が大好きです。
夏を感じさせるパラソルは、みんなが寄り添って日陰で潮風を感じて今を楽しんでいる風景を連想させます。今こうやって3人が出逢えているから夢を叶えてそれがどんどん変わっていって。
そしてパラレルは言葉通りもしもの世界。もしもこの3人が出逢っていなかったら…
もし梨子が浦の星に転校してこなかったら
もし千歌がμ'sに憧れていなかったら
もし曜が一緒にスクールアイドルを始めていなかったら
そう考えるとこの3人が出逢ってAqoursを始めたことは本当にキセキだし、アニメの言葉を使わせてもらうと運命のように出逢ったと感じずにはいられません。
「私、曜ちゃんと梨子ちゃんのことだーいすき!2人と出会えたことが、奇跡だよ!」
最後に千歌が2人に呼び掛ける言葉がこの曲の全てを表してくれていると思います。この曲の歌詞の読み解いていくとやっぱりAqoursの物語始まりは2年生だなと改めて感じさせてくれました。
3年生楽曲 "予測不可能Driving"
"カッコよさ"
3曲のなかで一番衝撃を受けました。というのも僕のイメージしている3年生像から少しかけ離れていたのと、こういうロックテイストな曲はAqoursには無かったという二つの理由でとても新鮮でした。確かに学年で考えたら1, 2年生より3年生が圧倒的にこういう曲似合うよなって聴きながら思ってのも事実です。
"ハジマリロード"、"Marine Border Parasol" では「ハジマリとオワリの線など引けない」「それでもみんな感じている これが終わりじゃないと」などAqoursの終わりや3年生の卒業がチラつく歌詞が散見されました。
でもその卒業する3年生が歌うこの曲にはそういう寂しさを連想させる言葉が出てこないんですよね。
「未来」「目的地」「マイナスよりプラス」 「目標」「未来に会ってみたい」
どれも驚くほど前向きでポジティブな言葉ばかりが並んでいて、その言葉に合った疾走感のあるロックテイストな曲調が見事にマッチしてるんですよ。本当に爽快感溢れる曲になっていますし曲名どおり予測不可能な未来を楽しみにしている3人の姿が目に浮かびます。
以上、簡単ですが曲への感想でした。果たしてこの曲たちは劇場版で歌われるんですかね?それとも全く別の6曲が…………いや、運営にはどうせ裏切られるので考えるのはやめておきましょう。
ある少女の心の旅
突然ですが「オズの魔法使い」という童話やミュージカルはご存知でしょうか。
名前は知っているけれど見たことはないって方も多いのではないでしょうか。ここで簡単にあらすじを。
<ざっくりあらすじ>
カンザスに住む少女ドロシーがある日大きな竜巻で家ごとオズの国へ飛ばされてしまいました。自分の家に帰るため願いを叶えてくれる「オズの魔法使い」を探す旅に出ます。旅の途中知恵のないカカシ、勇気のないライオン、心のないブリキの木こりに出会い一緒に旅をします。道中様々な困難に直面するもみんなで力を合わせて乗り越えていきます。そんな旅の中でカカシもライオンもブリキの人形も「欲しかったものは既に自分自身の中にあった」と気付いていきます。
ようやくオズの魔法使いの元に辿り着いたドロシーたちですが、なんと願いを叶えてくれるはずのオズの魔法使いの正体はただの人間でした。
衝撃の事実を知ったドロシーは落胆しますが、その後本物の魔法使いのおかげで無事カンザスに帰ることができました。
だいたいこんな話です。
さて、ではここから何故オズの魔法使いを取り上げたのか説明します。
この作品もとは児童向けの文学小説だったのですが(1900年出版)のちにミュージカル映画になっています。実はこの映画の劇中歌として歌われたのが "Over the Rainbow" という曲なんです。今や世界中で有名アーティストがカバーしたり街中のBGMでも使われていますね。
なので3rdライブで劇場版のサブタイトルが発表になったときどこかで聞いたことある名前だな…ってずっと引っ掛かっていたんですが、ネットでオズの魔法使いじゃんと言っている人見かけてそれだ!!ってなりました。
そしてこの曲の歌詞に「青い鳥」が出てくるんです。このあらすじだとよく分からないと思いますが、この物語が私たちに伝えたいメッセージが実はAqoursの物語そのままなんですよ。
というわけで以下もう少し突っ込んだあらすじです。
物語の舞台となったアメリカのカンザス州はド田舎です。田舎暮らしは退屈でつまらなく、ドロシーの周りには何かが欠けている人ばかりが暮らしていました。彼女は虹の彼方にある自分が理想とする素晴らしい場所を夢見ており(ここでドロシーがOvertheRainbowを歌います)、ドロシーの心にあるオズの旅は始まりました。
そこで彼女が出会ったカカシ、ブリキ、ライオンとともにオズの国での数々の経験を通して皆少しずつ変わっていきます。そして自分たちに欠けているものを得てドロシーの心の旅は終わります。
しかし帰ったカンザスの田舎が今までと違います。ドロシーが思っていた退屈でつまらない場所ではなく、多彩な人たちが住む温かい場所に変わっていました。否、変わっていたのではなく彼女は旅を通して現実を "見る" ことができるように成長したのです。退屈な田舎も悪いものではないな、と。
ひとことで言ってしまえば「やっぱり故郷が一番」ってことですね。ドロシーも成長しましたが現実世界も意外といいよなってことに気付いた灯台下暗しってとこでしょうか。
Somewhere over the rainbow
Bluebirds fly.
Birds fly over the rainbow.
Why then, oh why can’t I?
If happy little bluebirds fly
Beyond the rainbow
Why, oh why can’t I?
[日本語訳]
どこか虹を超えたところ
青い鳥たちは飛ぶ
鳥たちは虹を超えて飛ぶ
なぜなの、ああなぜ私にはできないの?
もし幸せの小さな青い鳥たちが飛ぶならば
虹を超えて
なぜ、ああなぜ私にはできないの?
そして劇中歌の "Over the Rainbow" の一部抜粋。
話には登場しませんが「勇気」や「踏み出す一歩」の象徴として青い鳥が描かれています。
ドロシーは青い鳥のようにいつか虹の向こうの世界へ飛んで行ってみたいと思っていましたが、その世界は "ここ" にあったんです。
この物語が伝えたいこと、きっとそれは
自分が望んでいるものは意外と近くに転がっていること
自ら行動を起こせば道は切り拓けること
これはどう見ても僕たちが千歌たちAqoursの物語から教えてもらったことですね。
正直ちょっと話が出来すぎてびっくりしました。
幸せの青い鳥
そしてもう一つ。「青い鳥」という童話はご存じでしょうか。
「幸せの青い鳥」とかチルチルとミチルと言えば分かる方もいるかもしれません。
こちらも簡単にあらすじを
<ざっくりあらすじ>
貧しい木こりの兄妹チルチルとミチルは夢の中で魔女に『幸せが実現するという青い鳥』を探してほしいと頼まれ、仲間達と様々な国へと旅に出ます。しかし、どの国で青い鳥を捕まえてもすぐ色が変わってしまいます。結局2人は青い鳥を見つけることができず旅は終わっていましました。
しかし家に戻った翌朝目を覚ますと2人が昔から飼っているキジバトが青い鳥に変わっていました。
遠くまで旅をして様々な出来事があったチルチルとミチルでしたが、本当の青い鳥(幸せ)はこんなに近くにありました。
もうこっちの話に至っては話の中に青い鳥が出てきます。
青い鳥、つまり「幸せ」は "身近なところ" にある。
それはAqoursでいう「輝き」は "最初からあった" ということではないでしょうか。
僕の記憶が確かだと「幸せを実現させた後、青い鳥は普通の鳥に戻ってしまった」という話の続きがあった気がします。
それは
"幸せは幸せだと気付いてしまった瞬間に幸せではなくなる"
青い鳥探してた
見つけたんだ
でもカゴにはね入れないで
自由に飛ばそう YES!!
答えはいつでもこの胸にある
気がついて 光があるよ『WONDERFUL STORIES』
千歌はAqoursのリーダーとして脇目も振らず、常にがむしゃらに前を向いて駆け抜けてきました。そして途中自分たちにとっての "輝き" の意味を見失いかけますが
「μ'sの背中を追うのではなく自分自身で在る」
という輝きの答えの半分を見つけました。そしてラブライブで優勝して
「輝きはずっと私たちのそばにあった」
ことに気付き、本当の輝きの正体を知りました。
"幸せは近くにあった" というのはあくまで結果論にすぎません。幸せそのものは自分で見つけに行こう、答えはいつでも自分の胸にあるから。
それがWSで歌っている「青い鳥をカゴに入れないで自由に飛ばそう」という意味だと考えます。
輝きの正体を知った瞬間にAqoursはこれまでの物語に一区切りをつけましたが、それは同時に次の夢への始まり。その次の夢の物語を紡いでくれるのが劇場版ではないかと僕は思います。
最後に、これは本当に推測の域を脱しませんが、ラブライブ!サンシャイン!!という作品のスタート当初にもう劇場版のタイトルは決まっていて、君ここのPVでの虹の演出や、校舎へ虹の落書き→WSの歌詞で "青い鳥" という流れが全て劇場版への伏線として仕掛けられていたものだとしたら本当に鳥肌ものだと思うんですよ。
というかWSはまだしも、デビューシングルである君ここで描かれている虹はあの段階でそれを単独で解釈するのは困難なのでそうなんじゃないかな…いやそうでしょ!というのが個人的な見解です。
いつかここらへんの真相が明らかになるときが来ることを願っています。
※以下参考にしたWiki
ググってみるとと物語のあらすじやそのメッセージ性など、分かりやすくまとめているサイトもあるので是非ご覧ください。
・オズの魔法使い(原作)
オズの魔法使い - Wikipedia
・青い鳥(原作)
これからのAqours
というわけで楽曲の感想やら考察やらを綴ってみました。
個人的には童話を絡めた話をメインに書きたかったんですが意外と長くなってしまいました。
自分が小さい頃に読んでいた絵本の物語がまさかこんなところで活きてくるとは思っていなかったし、意外と昔の記憶って残ってるもんだなーとちょっと自分に感心しました。
そして、
物語は
次のステージへ。
千歌たちAqoursがどのような物語を見せてくれるのか。公開されたいくつかのPVを見るだけで本当に色々な想像を掻き立てられます。キャストのみなさんもハンカチの用意を…と言っていたので感動する演出があるのは間違いないでしょう。
やっぱりここまで考えてしまうと早く見たいという気持ちが勝っている自分がいますね…
次回のニコ生で語られるであろう4thライブの感想や年末の紅白歌合戦を見つつ1月4日の公開を楽しみに待ちたいと思います。